キャリア支援部門「産休・育休」

こんにちは。専攻医部会キャリア支援事業です。

キャリア支援事業では、専攻医部会の皆さんのキャリアに役立つ情報を隔週で共有したいと思います。

第1回は「専攻医の産休・育休」です。

長くなりますので、専攻医部会ブログにも掲載しています。

何かご意見・ご感想のある方はフォームよりお寄せください。

 

専攻医部会キャリア支援事業 植村・栗原・西村・花木・前橋

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産休・育休のことは、普段教わることがなく、必要になったら自分で調べなくては学べません。産休・育休の一般的な知識に加え、医師や専攻医特有の知っておきたいことをまとめました。

 

重要項目!

★ 育児休業できても、育児休業給付金を貰えないことがある!

★ 産休・育休明けにパートタイムで研修を継続するならカリキュラム制!

★ 保育園の申し込みが遅れると入れないことがある!

★ 公務員の産休・育休は少し異なる!

 

まず、出産予定日が分かったら、産前休暇(6週間)の始まる日が決まります。妊娠34週0日からです。

産後休暇、育児休暇は、実際に出産してから正確な期間が決まりますが、産前のうちはとりあえず出産予定日から1年と概算しておきます。

 

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産休育休の申請の仕方は、厚生労働省のパンフレット(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf)に分かりやすくまとまっています。パパの育児休業については後述します。

 

★転勤の多い医師によくあるケース

・ 育休取得の条件に、「同一の事業主に1年以上雇用されている」ことが含まれています。研修などや異動などで転勤を繰り返すことが多い医師は、同一事業主に1年未満しか雇用されていないケースがあり、この場合は育児休業給付金を受け取れない可能性があります。育児休業自体は、雇用主が認めれば取れますが、無給です。ただし、1年以上どこかしらで継続的に働いており、雇用保険に入っていれば、ハローワークに書類を提出し、育児休業給付金を受けることができる場合があるので、勤務先に相談しましょう。しかし、1年以内に公務員の期間がある人については、雇用保険の制度が異なるので難しいかもしれません。(公務員については後述)

 

★専攻医の研修について(総合診療領域)

・ 専門研修を延長せずに終了したい場合、通算6ヶ月まで休むことができますが、内科・小児科・救急・総合診療Ⅰ・Ⅱのそれぞれの研修期間が規定の2/3を下回らないようにしなければなりません。そのため、3ヶ月の小児科・救急が産休・育休にかぶると、延長せざるをえないかもしれません。

・ 産休・育休明けに、フルタイムで勤務せず、週数回や、時短勤務をしたい場合、プログラム制からカリキュラム制へ切り替えることで、研修修了を目指すことができます(https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/sogo-curriculum.pdf)。

・ プライマリ・ケア連合学会の新・家庭医療専門研修プログラムを同時進行している場合、新・家庭医療専門研修プログラムについてはカリキュラム制ではなく、週2回勤務以上で、研修期間として認められます。週2回であれば2ヶ月で1ヶ月分としてカウントされます。カウント方法についてはまだ発表されていないので(2020.10時点)、詳細はプライマリ・ケア連合学会に問い合わせてください。

 

★パパの育児休業について

・パパの「育休取った!」という表現には、様々あります。出生後に育児をするために、「休み」を有給休暇を消費して取ったというのを、育休と表現する人もいます。それはただの休みですので、職場がOKなら特に手続きなど必要なく、旅行に行く時のように休めば良いです。ここでは、育休(育児休業)は、国で決めている育児休業の制度を使って休むことを言うこととします。

・パパの育休について厚生労働省のパンフレットがあります。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/ikumen_leaflet2018.pdf

・ママの育児休暇と異なる点は、「パパ休暇」と「パパ・ママ育休プラス」という制度があることです(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf

)。ママは2回に分けて育休を取得することはできませんが、子供が生まれてから8週間以内(ママ産休中)にパパが育休を1回取ると、パパは2回目も取得することができます。また、パパが取ることで、育休を延長することもできます。

・なかなか長期間休むことは難しいですが、1日でも取得可能です。家事育児をするために休む際には、有給休暇でなく育児休業を取る方が良いかもしれません。数日のみ取得する際、月末に取ると社会保険料が免除となるので、月末を含むような期間で休暇をとるとお得です。

・男性は育児休業をとることが職場で想定されていないことが多いため、特に長期間とる場合には、半年〜数ヶ月前には職場に打診しましょう。

 

★ 育休中の勤務について

育休中に少し働きたいと思う場合、日数と収入額の制限内であれば可能です(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf)。ただし、籍のある勤務先以外でアルバイトしたい場合には、二重就労になりますので、雇用されている勤務先の就業規則に反しないが確認が必要です。

 

★ 仕事復帰の準備について

・ 保育園を探します。地域によって大きな差がありますので、妊娠中に友人に聞いたり、市役所のこども課に聞きに行くと良いです。だいたい4月入園の場合は10月に申し込みがあり、遅れると入れず、遅れなくても入れない場合もあるので、なるべく早く情報収集しましょう。4月以外の入園に関しては、その都度申し込みになるますが、受け入れ可能な保育園が限られ、空きがあるか確認が必要です。それも市役所に聞いてみましょう。

・ 認可外保育施設は、市役所からの申し込みではないので、市役所は空き状況などを把握していません。自分で調べて問い合わせる必要があります。

・ 病院によっては、託児所や院内保育があるので、市役所経由でなく入れる場合が多いです。

・ 病児保育についても調べましょう。病児保育の制度があっても、人員確保や感染症流行状況などによっては利用しづらい場合もあります。

・ 復帰後の働き方について、プログラム責任者・指導医や担当事務とよく相談しましょう。

・ 保育園に落ちた時にどうするかを考えておいたり、職場と相談しておくと良いです。保育園に入れるまでは認可外に預けるか、家族になどに頼めるのか、職場復帰を伸ばすのかなど。

・ 市外に通勤する場合、住んでいる市の保育園か、通勤先の市の保育園のどちらが良いか、検討しましょう。市外の場合は、市内在住者が優先になる場合があるので、市役所に相談しましょう。

・ ファミリーサポートやベビーシッター、家事代行サービスなど、地域によって様々な種類のお助けサービスがありますので、自分の家庭に合ったものを探します。最初から使わなくても、登録しておいたり、調べておいたりすることで、助けが必要な時に役立ちます。

・ 保育園に預け始める時に、数時間から始めて徐々に預ける時間を増やしていく「慣らし保育」を行う保育園があります。期間は1〜2週間がほとんどですが、長い所では1ヶ月かかるところもあるようです。入園日(預け始める日)と職場復帰日をずらさないと有給休暇を消費することになりかねません。自治体、病院、保育園によって事情が異なりますので、確認が必要です。

 

★公務員の産休・育休

・産休の期間が妊娠32週〜産後8週間

通常より2週間早く産休に入ることができます(双子の場合は26週)。

・育休は最長3年取得可能

住む地域によっては1歳を超えると保育園に入園するハードルが高くなることもあり、3歳まで取得する例は公務員でも稀なようです。

・産休は有給休暇扱いです。産休中も普段と同額の給料が支払われます。育休中は育児休業手当金が支払われます。金額は3ヶ月までは標準月額報酬の2/3で、3ヶ月〜満1歳は1/2です(ただし上限あり)。勤務期間の縛りはありません。

 

自治医大卒の方向け情報

・産休は義務年限に含まれます。県によってもカウントが異なると思うのでよく確認してください。

・育休は義務年限に含まれません。

 

長くなりましたが、妊娠・出産・育児は考えたスケジュール通りではいかないものですし、地域資源や家族構成によっても異なるので、臨機応変に進めていきましょう。

 

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